7月のセミナーのテーマ「エゴグラム」に関しまして。
日本では「エゴ」という言葉は「エゴイズム=利己主義」の略として使われることが多く、いささかネガティブなイメージで捉えられがちかもしれません。

が、心理学で言う「エゴ」は「私」の意味です。「自己中」「自分勝手」といった意味合いは全く無い言葉です。

そして「エゴイズム=利己主義」はいけないことではありません。「利己主義」の反対は「利他主義」。自分にいいように、他人にいいように、両方とも大切です。この2つをバランスよく、どちらも行き過ぎないようにするのが肝要かと思います。

生き方のヒントが満載の昔話の中にも、え?そんなことアリ⁉と思うような、自分に都合のよいズルやウソなんかがよく出てきます。それらは「生きる知恵」なんです。

「五分次郎」というお話では、身体が五分(約1.5cm)の主人公が、京の大きな家のお嬢さんを嫁にするために、寝ているお嬢さんの口の端に自分の弁当の麦こがしを塗りつけておいて、泣きながら「お嬢さんがわしの弁当を食べた。嫁にくれるなら許す」と大ウソをつきます。

その後もいろいろ波乱万丈な出来事がおこりながらも、最後は打ち出の小槌でりっぱな若者になってめでたしめでたし、のお話です。(『子どもに語る 日本の昔話 ③』こぐま社 稲田和子・筒井悦子 より)

本のあとがきには「知恵と勇気で幸せをつかんだ五分次郎」とあり、【お話について】では、「古くは、はったい粉や米の粉は、神事や婚礼など儀式の食品でした。これを共に食べたという既成事実を作って結婚を承諾させたのは、五分次郎の知恵だといえます。」と書かれています。
昔話のエピソード、なかなかに深いです。 (文責 松本まゆみ) ※“こころぐ通信”は、こころセーフティネット協会にメールアドレスをご登録くださっている皆さまに毎月お届けしております。配信をご希望の方はメッセージ欄で、アドレスとお名前をお知らせください。協会のスケジュールやお知らせとともに、20日頃にメール配信いたします。