令和4年の干支は寅。「虎は千里を走る」といわれる強壮なイメージの動物ですね。

千里を走り抜く、と思うと「無理!」と言いたくなりますが、「千里の道も一歩から」。一歩一歩の積み重ねが、振り返るといつの間にか「ずいぶん長く歩んできたなぁ」となるのでしょう。立ち止まったり戻ったりしながらも、誰もが日々の歩みを続けています。

にもかかわらず、成功や達成感をなかなか感じられない「成功するな」という禁止令があります。今回はそのお話を。

交流分析で言う12の禁止令の1つ「成功するな」には、“頂上にはたどり着けない=成功はしない”パターンと、“頂上には登ってもさらなる次の頂上が見えてしまう=達成感がない”パターンの2つがあります。

前者だと、
「いつも、あと一歩のところで上手くいかない」
「勝負事で何となく自分から降りてしまう」などが起こったり、
後者(日本人にはこちらが多いといわれます)だと、
「こんなんじゃまだまだ成功とはいえない」
「どこまで行っても上には上がある」などと考えたり。

どちらも、成功体験や自己有用感などを手に入れにくくなってしまいます。

自分に向けて「成功するな」というメッセージを出すってどういうこと?とピンと来ないかもしれません。禁止令とは、さまざまな自分の生き方ルール(=決断)がネガティブな方に働く場合、これに当てはまるのでは、という大まかなテーマなんです。

ですから必ずしもストレートに「成功するな」と意識しているわけではありません。「1番になんかなるもんじゃない」とか「結果に満足してちゃダメ、もっと上を目指さなきゃ」といった思いがもしネガティブに働くとしたら、禁止令「成功するな」にあたるのでは、ということなのです。

そして禁止令は決して良くないものではありません。程度の差はあれど、誰もが12の禁止令を持っているとされていて、それは人のさまざまな生き方のルール=決断が、いかに多岐にわたっているかを示しているのだと思います。

身体の不調の原因がわかると手当ての方法が見つかるように、何かうまくいかないことにぶつかった時、禁止令に気づくことは人生脚本の見直しにつながります。

心の手当てのヒントがたくさん見つかる、それが交流分析です。
(文責 松本まゆみ)


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