「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉にすがる思いの今年の暑さですが、さすがに秋の気配が漂いはじめました。

初秋につきものの何とはなしの物寂しさを言う方言に「とぜねえ」という言葉があります。マツモトも子ども時分にお年寄りからよく聞いたものです。

「とぜねえ」は「なんだかさみしい」の他「何もすることがない」意でも使われるのですが、これこそが「徒然草(つれづれぐさ)」の「徒然(とぜん)」だったと気づいたのはほんの数年前のこと。

あ〰、そうだったかぁ。「徒然」がこんな身近にあったのに全然ピンと来てなかった〰、と惜しまれる思いでした。

そして、この「とぜねえ」。てっきり我が地域のお年寄りだけの言い方だと思っていたのに、今回調べてみてあらビックリ。思いの外たくさんの地方で「徒然(とぜん)」、使われているのです(使うのは主に高齢者のようですが)。

熊本「とぜんなか」、鹿児島「とぜんね」、秋田「とぜない」などなど。遠い古典の中のものとしか捉えていなかった言葉。それが連綿と生きて使われている…。感慨深い発見でした。

知識は生活や体験と結びついた時、ぐっと自分の中で実になります。心の深奥に蓄えられている数え切れない知識や体験。それが何かの拍子にふと顔を出し、大いなる気づきが起こる。これこそが、AIにはできない人間の力だと思います。 (文責 松本まゆみ) “こころぐ通信”は、こころセーフティネット協会にメールアドレスをご登録くださっている皆さまに毎月お届けしております。配信をご希望の方はメッセージ欄で、アドレスとお名前をお知らせください。協会のスケジュールやお知らせとともに、20日頃にメール配信いたします。